お酒は百薬の長されど万病の元

お酒は百薬の長という言葉がある。古くからある食前酒は、お酒の食欲増進効果を期待した習慣と言える。お酒には食欲アップの他に大きなリフレッシュ効果がある。ワインのポリフェノール、お酒の麹酸は体内で増える活性酸素を減らす効果が期待できる。その他お酒にはアミノ酸、ビタミン、ミネラル、有機酸など、健康維持に欠かせない栄養素も含まれている。適量のお酒での食欲増進、血行の促進、ストレスの軽減などの作用が上手く噛み合った状態が、百薬の長の所以であろう。一方 、過ぎたるお洒は万病の元なる言葉はお酒が肝臓で代謝されて生じたアセトアルデヒドにある。アセトアルデヒドはなにものかというと、少量なら果物、野菜など天然の食材に含まれる物質で、口から入る限り害はない。臭いで嗅ぐアセトアルデヒドは、香料として有名である。

香水の新時代を告げたのは、1921年合成香料シャネル番の登場だ。貴族から大衆まで女性を虜にした香料がアセトアルデヒドなのである。問題なのは、適量を超えた飲酒で生じる過剰なアセトアルデヒドは、身体を酸化し錆びさせる。酸化とはつまり老化である。酒飲みの特徴は、皮膚の老化と免疫の低下である。この免疫の低下が万病の元につながる。

 

アセトアルデヒドは、発がん性があることがわかっており、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、肝臓がん、乳がん、大腸がんと6種のがんが知られている。飲みすぎると中性脂肪が蓄積し脂肪肝や肝硬変などの肝臓障害を引き起こし、さらに脳萎縮へと続く。

では、適量のお酒とはどれほどの量であろうか。日本肝臓学会では、肝機能正常な人にとって1日あたりの純アルコール摂取量は、約20g程度としている。お酒には%濃度表示がされており、飲んだ量(ml)×アルコール度数×アルコール比重0.8で算出する。自分の肝臓の状態を知る方法として、肝機能検査ALT(GPT)が30を超える人は、お酒は飲まない方が良い。血液検査の結果があれば、誰でも計算できるFIB-4 Indexがある。病院 、クリニックで採血検査したら、その血液検査の結果をもらう習慣が大切である。

最近女性のお酒愛好者が増えているが、アセトアルデヒドの分解酵素は性差的に男性優位である。要するに男も女もおいしいお酒を適量、日本酒1合、缶ビール350ml一本、ワイングラス1杯程度でこの世を楽しんで頂きたい。