イビキ①
学生時代に合宿で艇庫に寝泊まりをしていた時、先輩のイビキに逃げ場のない災難にあった苦い思い出がある。仲間なら足で蹴飛ばせば寝返りを打ってイビキは収まるが、先輩となるとそうはいかない。家庭では、父親のイビキには家族皆、我慢したものだ。イビキは騒音だけが問題になっているが、健康被害も馬鹿にしてはいけない。連続する微小覚醒による深睡眠の減少と熟眠不足は、本人にとっても相当に辛いものがある 。
見えない弊害として、イビキによって生じる不十分な呼吸とそれに伴う低酸素は、慢性的に続くと心血管系にとって負担となる。
血圧の上昇は放置すると高血圧につながり、連夜の低酸素は、心血管系に悪影響を及ぼし狭心症や心筋梗塞のリスクを高めることになる。たかがイビキされどイビキと言われる所以である。イビキは老若男女を問わず、口を開けて眠る舌恨沈下によるイビキ、残遺扁桃腺によるイビキ、更年期の口腔筋肉の緊張低下によってもイビキは起きる。イビキは成人病の遠因として放置されるべきではない、と私は警告している。