老人の一番の財産は筋肉

新年のご挨拶は筋肉の話。70歳の古希を迎える頃には、かつての青年は立派な老人になっている。老後の1番の財産は何かと問われたら、多くの人は健康とお金と答える。一見正しいようだが、老後を支えるのは健康とお金はもちろんだが、もっと大切なのは筋肉だ。75歳を過ぎると、筋肉不足は行動範囲を大幅に狭くする。お金はあっても旅行に行けない、ショッピングに行けない、自立生活が出来ない、打開策は老人に合った運動療法だ。

特別な道具は要らない。日に数分の連動を繰り返し行うのが大切。骨密度は測っても、筋肉量SMIを測ったことがない人は意外に多い。筋肉は年齢と共に減少し、70歳からは急速。このSMI検査なしに運動プランは立てられない。SMIが7.0を切るとサルコペニア。サルコペニアを放置するとフレイルに至る。フレイルの先に待っているのは、車イス。

運動療法の基本は、ウォーキング、ストレッチ体操、バランス体操、関節可動域訓練、筋力訓練の順。この運動によって、歩行速度、転倒の危険性は改善される。

①ウォーキングポール歩行

 

 

② ストレッチ休操:両手に500gのダンベルを持って行う、立位から床に両手をつける運動は、下肢裏側筋肉のストレッチに有効。ベッドを逆に寝て両手にダンベルを持ち、万歳運動を繰り返すことで、背筋、胸筋、腹筋など体幹筋肉のストレッチが効果的に出来る。


 

③ バランス体操:バランスボールは簡単だが、結構危ない。足元からバランスを取る方法として、ミニトランポリンはお奨め。足踏みだけで効果的、慣れると飛ぶ真似までは挑戦してもよい。ただし必ず手すりを持って行うこと。効果を実感されると思う。

これらの運動を無理のない範囲で毎日継続してほしい。要介護に至る最初の関門は、全身の筋肉が衰えるサルコペニア。関節可動域の減少やバランス障害によるロコモティブシンドローム、横着をしていると、気が付けばフレイルの要介護。老いてなお、かくしゃくとし、自分の世界を狭くしないためには、日々の運動は欠かせない。令和7年の新年を迎え、めでたい新年から一念発起して、運動と笑顔のある生活を目指してほしい。